実印を失くした時にどうすればいい?
「あ。実印無くしてしまった。どうすれば良いのかな」
実印が見当たらないと気づいた瞬間、心臓が少し跳ねるような不安を感じることがあります。大切な契約や手続きに使う印鑑だからこそ、「悪用されたらどうしよう」「何から始めればいいのだろう」と焦ってしまうのも自然なことです。
けれど、実印を紛失した場合には、きちんとした手続きの流れがあります。まずは現在の印鑑登録を止め、新しい印鑑を登録し直すことで、紛失した実印が登録印として使われることを防げます。
実印の紛失に気づいたときは、落ち着いて順番に対応していくことが大切です。
実印とはどんな印鑑か
実印とは、住民票のある市区町村で印鑑登録をした印鑑のことです。単なる印鑑ではなく、公的に「本人の印鑑」として登録されているものです。
実印は、次のような重要な場面で使われることがあります。
- 不動産の売買
- 自動車の購入や売却
- 相続手続き
- 住宅ローンなどの契約
- 保証人になる手続き
- 会社設立や法人関連の手続き
実印そのものに加えて、印鑑登録証明書を一緒に提出することで、本人の意思確認として扱われることが多くあります。そのため、実印を紛失した場合は、早めに手続きをしておくと安心です。
まず確認したいこと
実印がないと気づいたら、まずは次の点を確認します。
- 実印だけを紛失したのか
- 印鑑登録証も一緒に紛失したのか
- 印鑑登録証明書を最近取得していないか
- 最近、実印を使った契約や手続きがなかったか
- 家の中や職場、かばん、金庫などに置き忘れていないか
実印だけを紛失した場合でも、印鑑登録はまだ有効な状態です。印鑑登録証が手元にある場合でも、紛失した印鑑が第三者の手に渡っている可能性があるなら、登録を廃止しておくと安心です。
印鑑登録証も一緒に失くしている場合は、印鑑登録証明書を不正に取得されるおそれもあるため、より早めの対応が望まれます。
実印を紛失したときの基本的な流れ
実印を紛失した場合の手続きは、基本的に次の流れで進みます。
- 市区町村役場で印鑑登録の廃止手続きをする
- 印鑑登録証を紛失している場合は亡失届を出す
- 新しい実印にする印鑑を用意する
- 新しい印鑑で印鑑登録をする
- 必要に応じて印鑑登録証明書を取得する
一番大切なのは、紛失した実印を「登録された実印ではない状態」にすることです。印鑑登録の廃止手続きが完了すると、その印鑑は実印としての効力を失います。
印鑑登録の廃止手続き
実印を紛失した場合は、住民票のある市区町村役場で印鑑登録の廃止手続きを行います。窓口の名称は自治体によって異なりますが、市民課、住民課、戸籍住民課などで受け付けていることが多いです。
廃止手続きに必要なものは、一般的に次のとおりです。
| 必要なもの | 内容 |
|---|---|
| 本人確認書類 | 運転免許証、マイナンバーカード、パスポートなど |
| 印鑑登録証 | 手元にある場合は持参 |
| 印鑑登録廃止申請書 | 窓口で記入することが多い |
| 認印 | 自治体によって必要な場合がある |
印鑑登録証が手元になくても、本人確認ができれば廃止手続きを進められることが多くあります。印鑑登録証も紛失している場合は、あわせて亡失届を提出します。
印鑑登録証を失くした場合
印鑑登録証は、印鑑登録証明書を発行するときに必要になる大切なカードです。実印そのものが手元にあっても、印鑑登録証を紛失した場合には注意が必要です。
印鑑登録証を失くした場合は、役場で亡失届を提出します。自治体によっては、印鑑登録証の再発行ではなく、いったん印鑑登録を廃止してから新たに登録し直す扱いになることがあります。
実印と印鑑登録証の両方を紛失した場合は、悪用を防ぐためにも、できるだけ早く役場で手続きを行うことが大切です。
新しい実印を用意する
印鑑登録を廃止したら、新しく登録する印鑑を用意します。実印として登録できる印鑑には、自治体ごとに決まりがあります。
一般的に、次のような印鑑は登録できないことが多いです。
- ゴム印など変形しやすい印鑑
- 印影が不鮮明な印鑑
- 欠けや摩耗が大きい印鑑
- 氏名以外の文字や絵柄が入っている印鑑
- サイズが自治体の規定に合わない印鑑
- 同じ世帯の別の人がすでに登録している印鑑
登録できるサイズは、多くの自治体で「一辺8mmの正方形に収まり、一辺25mmの正方形に収まるもの」などと定められています。
印鑑に入れる文字は、住民票に記載されている氏名、氏のみ、名のみ、または氏名の一部を組み合わせたものなどが認められることが多いです。ただし、細かな条件は自治体によって異なります。
新しい実印を再登録する方法
新しい印鑑を用意したら、住民票のある市区町村役場で印鑑登録を行います。本人が窓口で申請し、顔写真付きの本人確認書類を提示できる場合は、即日で登録できることが多いです。
再登録に必要なものは、一般的に次のとおりです。
| 必要なもの | 内容 |
|---|---|
| 登録する新しい印鑑 | 実印として使う印鑑 |
| 本人確認書類 | 運転免許証、マイナンバーカード、パスポートなど |
| 印鑑登録申請書 | 窓口で記入することが多い |
| 登録手数料 | 自治体によって金額が異なる |
顔写真付きの本人確認書類がない場合は、照会書が自宅に郵送され、後日その回答書を持参して登録する流れになることがあります。その場合、登録完了まで数日かかることがあります。
代理人に手続きを頼む場合
本人が役場へ行けない場合、代理人による手続きが認められることがあります。ただし、実印は重要なものなので、代理人による申請では本人確認がより慎重に行われます。そのため、即日で登録が完了しないことが多いです。
代理人による手続きで必要になるものは、一般的に次のとおりです。
- 登録する新しい印鑑
- 本人が作成した委任状
- 代理人の本人確認書類
- 代理人の印鑑
- 自治体指定の申請書類
代理人が申請した後、自治体から本人宛に照会書が郵送されます。その照会書に対する回答書を提出して、登録が完了する流れが一般的です。
印鑑登録証明書を取得する
新しい印鑑の登録が完了すると、新しい印鑑登録証が交付されます。その後、必要に応じて印鑑登録証明書を取得できます。
印鑑登録証明書は、不動産売買、自動車登録、相続、融資、保証契約などで提出を求められることがあります。以前の実印で取得した印鑑登録証明書は、登録廃止後には使えなくなります。手続きで必要な場合は、新しい登録内容に基づいた印鑑登録証明書を取得します。
悪用が心配なとき
実印と印鑑登録証を一緒に紛失した場合や、盗難の可能性がある場合は、早めの対応が大切です。役場で印鑑登録の廃止手続きを行うことで、紛失した印鑑を実印として使えない状態にできます。
すでに悪用された可能性がある場合は、状況に応じて、関係する契約先、金融機関、警察などへ相談することも考えられます。
特に、次のような心当たりがある場合は、早めに確認しておくと安心です。
- 知らない契約書に押印された可能性がある
- 身に覚えのない請求や通知が届いた
- 不動産や車、借入に関する不審な連絡があった
- 印鑑登録証明書を勝手に取得された可能性がある
- 家族や知人を含め、第三者が印鑑を持ち出した可能性がある
不安をそのままにせず、一つずつ確認していくことで、余計なトラブルを防ぎやすくなります。
紛失した実印が後から見つかった場合
印鑑登録を廃止した後に、紛失していた実印が見つかることもあります。その場合、その印鑑はすでに実印ではありません。もう一度実印として使うには、改めて印鑑登録をする必要があります。
ただ、一度紛失した印鑑は、どこで誰の手に触れていたか分からない場合もあります。大切な契約に使う印鑑としては、新しく登録した実印をそのまま使い続けるほうが安心です。
実印を保管するときのポイント
実印は、普段使いの認印とは分けて保管することが大切です。また、印鑑登録証や印鑑登録証明書と一緒に保管すると、万が一紛失したときのリスクが高くなります。
保管するときは、次のような方法が安心につながります。
- 実印と印鑑登録証を別々の場所に保管する
- 印鑑登録証明書を必要以上に取得しない
- 実印を使った後は、すぐに決まった場所へ戻す
- 持ち歩くのは必要なときだけにする
- 鍵付きの引き出しや金庫などに保管する
- 銀行印や認印と混ざらないようにする
実印は、日常的に何度も使うものではありません。大切な場面でだけ使う印鑑だからこそ、保管場所を決めておくことが紛失防止につながります。
まとめ
実印を紛失すると、不安になってしまうものです。しかし、手続きの流れを知っていれば、落ち着いて対応できます。
まず行うべきことは、住民票のある市区町村役場で印鑑登録の廃止手続きをすることです。印鑑登録証も紛失している場合は、亡失届もあわせて提出します。登録を廃止すれば、紛失した実印は登録印として使えなくなります。
その後、新しい印鑑を用意し、本人確認書類などを持参して再登録を行います。登録が完了すると、新しい印鑑登録証が交付され、必要に応じて新しい印鑑登録証明書を取得できます。
実印は、大切な財産や権利に関わる重要な印鑑です。失くしたことに気づいたときは、焦らず、早めに登録廃止と再登録の手続きを進めることが、安心につながります。


